「 ア ベ コ ベ 」

最近ジェームズの様子がおかしい。

そう感じる。


頬杖を付きながら横目にジェームズを見、
そうシリウスは思った。

どこが、と聞かれれば別にどこもおかしくは無いように思えてしまうが、
だが確かにジェームズはおかしい。

自分の中で答えが出せず、自分の頭を手で掻き乱した。
地団駄。
今までこんなことがなかったから。
どうしようもなくイライラする。


「さっきから一体どうしたんだ?」


ジェームズが怪訝な顔をしながら聞いてきたが、
その質問は逆にこっちが問いたいぐらいだった。

そっちこそ、どうしたんだよ。


しかしその質問を問うのは何かに負けたような気がして、
シリウスの心の中へと消化されていく。
更に思いつめたようになるシリウスにジェームズは更に顔をゆがめた。


「しゃべりたくないなら、別にいいけどさ・・・」


そう言いまた作業へと戻るジェームズにズキリと胸にくるものがある。
ジェームズは故意にそうしたわけではないだろうが、
今のシリウスにはまるでジェームズが自分なんてどうでもいいと言ってるような気がしたからだ。
そして、こんなにジェームズのことを考えている自分が馬鹿らしく思えてくる。
そうだ。ジェームズは元々こんな奴だったじゃないか。

他人のことは無頓着。

ジェームズが重要にしている事柄は
好きか嫌いか、
オモシロイかツマラナイか、
快楽か苦痛か、
たった6個で物事を判断し、
行動に移す。
興味あることにはどんな手を使ってでも成し遂げるが、
興味ないことには一切手を触れない。
そういう奴。

だからこそ、
そんなジェームズだからこそ友達になった。
だから、今更奴の行動に一喜一憂しているのなんて馬鹿なことで、
時間の無駄だ。
シリウスはそう思うようにする。

でも

ただ一つ気になることを言えば、


セブルス・スネイプ


こいつは明らかにおかしくなった。
まるで、麻薬中毒になっているような極端な痩せ方に
日が増すごとに姿を見せなくなった。
授業にも最近は出てないみたいで、
ホグワーツでは密やかにスネイプについての噂もたっている。

ちらりとジェームズを見たが、
奴は未だ宿題を涼やかな顔をしながら減少させてゆく。
ジェームズが何かしら関わっている予感がした。



スネイプはジェームズのことが好き。


ジェームズ・ポッターは飽きるまで遊びを続ける。



そう頭に流れ込んできて
シリウスは、目を見開いた。
でも、俺には何も出来ない。
ジェームズを止めることも
スネイプを助けることも
何も出来ない。

そこで、シリウスは内心ため息をついた。



出来ないんじゃなくて

しない、の間違えか・・・


どちらにしても、俺は面倒ごとが嫌いなんだと思う。
願うことなら、
ジェームズの新しい遊びがアイツがくたばる前に終わること
スネイプが予想に反してタフなことを祈るのみだな。



あぁ、神様





子羊にご加護をってか


シリウスは一人自嘲気味に笑った。








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