「 ア ベ コ ベ 」






どうしてこんなことになったのか



セブルスには理解できなかった。





理解する気も毛頭なかったが。




なぜなら理解したとたん、


その事実はスネイプの胸に釘を打つことになるだろうと


安易に予測出来たからである。










「・・・んっ・・・・ぁ」



布と布が、皮膚と皮膚が擦れる音を耳に入れながら
セブルスは思った。
冷ややかな男の視線を感じる。
それだけで、セブルスの中は熱くなる気がした。
くしゃりと前髪を掻きあげる仕草を見て綺麗だ、と思う。

男の汗がセブルスの頬に落ちた。



自分がこんなことしてる理由は簡単に導き出せる。



このどうしようもない男が好きだから。





もう抜けれないほど深く深い底にセブルスは嵌ってしまったのだ。



やめなければ、抜けなければならない。



そんな思いは常にセブルスの中には存在したが
どうしようもないこの思いを消すことは出来なかった。




「も・・・・・ぃや・・・・」





男がそれを聞き嘲笑する。

ずんっと突然強く突き上げられてセブルスは自身を解放した。
男の笑い声を聞きながら。









「あんたってマゾなの?」



痛む身体を庇いながら服を整えていた時言われた。
胸が痛み出すのを知らないふりをしながら
なるべく普通にセブルスは男のほうを振り向く。


男の顔にはやはり笑みが張り付いていた。
セブルスはこの男が笑んでいる顔しか見たことが無い。
こちらを馬鹿にしたような笑みしかセブルスは知らなかった。
他の、仲間達に見せるような笑みとは違う笑み。
そのことが男にとって自分がどのような存在なのかを知らされているようで悲しかった。




「なんて顔してるの。」



笑みを深めながら男が言う。
自分ははたしてどのような顔をしているなんかは真実知らないが、
おそらく情けないような困ったような顔をしているだろう。
ポッターがなぜそんなことを問うのかわからなかった。



「この関係いつやめても僕はいいんだけど。」

もう、嫌だって最中あんた言ってたしね。



セブルスは目を見開く。
そんな意味でいったんじゃない。



頬が冷たかった。
ポッターの左手がそろりと頬に添えられる。
顔はあの笑みのままで。



「何泣いてるの。」



抑揚のないただ不思議がっている声に
ますます己の惨めさを感じた。
ポッターの腕を払い痛む腰を奮い立たせて
セブルスはその部屋から飛び出した。



冷えた身体がとても寒くて、

先程まであった体温がとても恋しかった。





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